「道草は人生の糧」と語る著者は、鉄の胃袋を持ち、好奇心旺盛。ありきたりの研究に飽き足らず、食文化という新たな学問分野を切り拓いたパイオニアである。論文執筆の傍ら、思うことを自由に表現できるエッセイも数多く執筆。道草の中で得た見聞をもとに綴られ、興味深い内容とユーモアあふれる筆致で人気が高い。本書には、新聞、雑誌掲載のエッセイのうち、書籍未収録のものを自選で収録。日本・世界の食文化をめぐる「おもろい...
神事・祭事をはじめ、家庭や社会のさまざまな場面で女性たちが発揮してきた〈内なる力〉を再認識する「女の文化誌」。西欧的功利主義によって見失われた日本女性のすぐれた能力を見なおし、日本の生活文化の中で果たしてきたその重要な役割を正当に位置づける試み。旧来のイデオロギー的・一元的な女性観からの脱却をはかり、人びとの暮らしの実態に寄り添ったトータルな女性像を描き出す。〔女性史・民俗〕
白山神社はなぜ被差別部落に多いのか。北陸の地で時宗、一向宗にいかに駆逐されていったか、歴史的な推移からもその実体を追う。
そのルーツを中国,朝鮮半島に探るとともに,日本人の食生活に不可欠の食具となり,日本文化のシンボルとされるまでに洗練された箸の文化の変遷を総合的に描く。
理想郷の食べものを再現した茨城の食,伝統行事に潜む栃木の食の饗宴,粉もの王国・群馬の食。
人類が生み出した最古の芸術?ことばの世界。国や民族、宗教、言語の壁をかるがると飛び越え、世界中をめぐりそして文化を旅する。親から子へ、後代へと波紋のように語り継がれる世界。
怪異・妖怪文化研究に関する29本の論文を収録。
多角的な方法により共同体を考察した,中世セルビアの農村社会史。バルカン研究の基本図書。(歴史図書総目録より)
錬金術・占星術・イスラム文化・天文学・エロース・魔女狩り…。絢爛たるルネサンスの芸術・思想の革新運動の地層の奥深く、美しい花を咲かせんと濃密な養分の如く横たわっていたもの?。暗黒とされたルネサンスの混沌とした知の実践者たちが展開する、理性のみでは捉え切れない華麗で豊饒な宇宙の全て。
歴史家萩原は、丸山真男らに並ぶ教養・学識の深さとともに叙述の美しさで定評がある。1は長らく品切れだった吉野作造賞受賞『馬場辰猪』。知識人の孤独、転向と亡命を描ききった著者会心の第一作。付録としてこれまで未収録の論考も。解説は宮村治雄。
『馬場辰猪』とは対照的とも言える外交官陸奥を通して、権力と理念をめぐる相克を描く。上巻は「幸福な出会い」坂本龍馬との邂逅、海援隊、明治維新から西南戦争直前まで(「父と子」~「元老院」)。
下巻は西南戦争の際の政府転覆に加担、投獄を経て、欧州へ遊学。知識人から政治家陸奥への転向の再出発までを描く。付録に、毎日新聞連載「陸奥宗光」を単行本化する際に未収録だった「開戦」「講話」「晩年」も含む完全版。解説は宮村治雄。月報付き。
第2次大戦の開戦時・敗戦時ともに外務大臣を務め、ソ連の外相モロトフに評価された東郷。彼を通して、日本近代を支えた「大日本帝国における優秀な官僚とは何か」を考える。解説は酒井哲哉。付録は「独ソ戦と太平洋戦争」「外交における個人の役割」。
「政治と芸術」(フルトヴェングラー)、「アジアと日本」(戴季陶)など、書物が与える楽しみを縦横無尽に語る、読書エッセイの名作。付録に「クリオの愛でし人」のこと〔丸山真男との対談〕や未発表の「滞英日記」1969~70(読書ノート)を掲載。解説は菅原啓州。
英国から戻り〈保守と革新〉という大テーマを掲げ論壇で活躍した60年代。時評から歴史叙述への移行を編年で見る30編のうち、半数以上がこれまで単行本未収録。国レベルでなく、人と人の国際交流を論じた付録5編は現代にも響く。解説は杉山伸也。
馬場辰猪や陸奥宗光、アーネスト・サトウなどの人物論、岡義武・丸山真男・藤田省三についてのエッセイなど、歴史家の多彩な貎を示す文章を収録。単行本未収録、多数。付録に著作目録と年譜、横山俊夫によるインタビューほか。解説は杉山伸也。
15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。