昭和の文人をめぐる172人の感懐。
語義を見極め本文を分析することで、物語全体を支配する“宿曜”の実態や、姫君の育て方、琴(きむ)の伝授といったテーマを読み解くと、従来見えてこなかった伏線や人物像などがトータルで浮上する。新たな源氏物語の解釈を提示する一書。著者の源氏物語論、待望の第四弾。
古井由吉『杳子・妻隠』、島尾敏雄『死の棘』、中上健次『岬』など、戦後を代表する数々の文学作品の装画・装幀を手がけ、作家と密につながり、深い読みを表現してきた芸術家が照射する、文学と人間の深淵。
二人の少年ジョバンニとカムパネルラの、美しい天上の旅と永遠の別離。『銀河鉄道の夜』は、未完の作品ながら、色褪せることなく読み継がれている。孤絶や悲しみを常に抱えつつ、宮沢賢治は故郷・花巻の地から小さな物語を生み出し続けた。遺されたその結晶は、独自の自然へのまなざしと、短くはりつめたその生涯に燃え続けた意志とを、今も静かに映し出す。「悲しみを、いかにして乗り越えるか」。とこしえに輝く一条の光が、私た...
グローバル化と格差社会の進行、地球規模のポピュラーカルチャーの発達により「文学」の定義は変容しつつある。新自由主義化のなかで21世紀の「批評」に何ができるのか。批評の現在が提示する、新しい「政治」。
青森県出身の作家・寺山修司は、四十七年という短い生涯の中で、詩歌・童話・小説・エッセイ・評論といった文筆活動にとどまらず、演劇、映画、作詞など、多様な領域を横断して先鋭的な活動を行ない続けた。彼の残した作品や言葉は、没後三十年を経た今日にあっても、多くの人を魅了し続けている。ただしその一方で、現在では寺山の営為に関わる文脈の多くは忘却され、その活動が定型的なイメージで捉えられやすくなっていることも...
海は人類最後の聖地韓国を代表する詩人・高銀と、世界文学『苦海浄土』の石牟礼道子が、海に思いをめぐらせながら、日本と朝鮮半島のこと、詩とは、文学とは、そして人間とは何かについて、魂を共鳴させながら語り尽くした、奇跡の三日間の記録。
『荷車の歌』の作者・山代巴は、人として生まれながらその幸せを阻害された人びとと共に、生涯を送った。そのエネルギーがどこから来たのかを、著者は懸命にたどる。本書を読みながら、みなさんも著者と共に考えてみませんか。
生きることに迷ったら。さまざまな文学作品と人間像を紹介、生き抜くヒントが得られる本。
虚構のなかに隠された作家の真意を読み解き、名作小説の新しい魅力を発掘する。近代名作八編への案内書。
女である自分、女としての個人。何を開拓していったか。
“文明の病”「水俣病」について、患者とその家族の苦しみを、同じ土地に生きる著者が記録した『苦海浄土』。人間の尊厳について普遍的な問いを発し続ける一冊を、新たな「文学」として読み解いていく。(「近刊情報」より)
人生のあらゆる場面で、あなたにぴったりの一冊、処方いたします。